AGの挑戦

昭和女子のエッセイ

熱血!ビジネス合宿での忘れられない場面

度々話題に上がるが、今日も昔勤めていた会社の話である。

 

社長が社員教育に熱心で、私たちは定期的にセミナーや合宿に

行かせていただいていた。

今考えると、ありがたい以外何物でもなく、

数千円~数十万円を一人一人にかけ、

期待して手塩にかけて育てていただいていたのだ。

申し訳ない…

その頃は目的も明確ではなく、なんだったら嫌だった。

すごく。

 

その中で一番印象に残っているのは

会社から10人が参加させていただいた

2泊3日のちょいスパルタ合宿である。

早朝から大声の挨拶で始まり、自己啓発やトラウマ解消のワーク、

会社にとっての自分の存在意義などをみっちり教え込まれる。

誰かができないと連帯責任。

内容は座学だが、行動が体育会系の合宿だった。

教室に入る時は一礼。

道場である。

 

私たちの会社からの参加が10人と多く

他の方は1~5人までが何社か集まり30名ほどいたと思う。

知らない方と同じ部屋で過ごす経験は新鮮だった。

 

2日目の夜には壁にぐるっと椅子を並べてコの字型に座り

一人一人みんなの前で自分のトラウマを発表し克服するという、

最大級のイベントがあった。

2日間缶詰で課題をこなしていると、ある種の洗脳と同じで

大声で発表することもにも慣れ、

自分の一番つらかったことを涙ながらに話すものもいる。

大切な人の死やいじめられ自殺を考えてた過去など

ヘビー級なエピソードも飛び交う。

聞いている側も感情移入し、講師の先生が

「よく、頑張ったな~つらかったな~」などと言ってくれるから

大号泣である。

 

そんな中事件が起こった。

あまりの衝撃にその方のエピソードが何だったかすら思い出せないのだが

その方が、嗚咽交じりに話した後、講師の先生が

 

「よし!相撲とろう!」

 

と言ったのである。

ドラマ以外で「相撲とろう!」のフレーズ聞いたことあります?

 

私は、完全に我にかえってしまった。

(えっ、相撲?)(ここは河原か!?)

そう思っているうちに、

「うぉー-!!」と講師の胸にタックルしたのだ。

(えっと、ドッキリかな?)

周りを見渡して見た。熱いまなざしで2人を見守っている人々。

どうやら洗脳が解けていないようだ。

 

投げ飛ばされた男性が再び立ち上がる。

「うぉー-!!」

 

(やばい めっちゃオモシロイ)

首からタオルをかけ、涙を拭きながら受講していた私は

あれほどタオルがありがたいと思ったことはない。

『笑ってはいけないセミナー』だ

 

頭の中で『ヒーロー』が流れる。ラグビーのドラマのやつ。

(いや金八先生か?そういえばテツヤさんという方が参加者の中にいたな。

何を見せられているんだ)

タオルで顔を隠しているが、ずっとでは不自然なので、

真顔で直視しようとするが、ツボに入りすぎて無理

笑いが止まらない。

またタオルを使う。

 

(やばい 早く終われ)

数回投げ飛ばされていると、

どこからともなくオーディエンスがはじまる

「頑張れ!」「自分に負けるな!!」

 

(もう、そんなんいらんねん)(オモシロすぎる…)

 

体感的にかもしれないが、結構長く

20分くらい相撲を取っていたような

 

なぜか最終全員が立ち上がり円陣を組むという

なんとも熱い感じで、講師の先生が上手くまとめた後終了し解散。

おなかちぎれるかと思った。

 

心底、「この講師の先生、給料なんぼなんやろう」と疑問に思った。

いくらもらったら、こんな熱くなれるのか?

劇団員の方かもしれないな。

 

休憩時間に同じ会社の人に声をかけると

「お前 笑いすぎやで」と言われた。

ばれてた…テヘ

 

「よし!相撲とろう!」

という最強フレーズのせいで前も後も記憶にない。

おそらく一人 数十万円かかっていたはずだけど…

社長、申し訳ないです…面白すぎて

 

勉強になったことは

①2日あれば初対面でも、熱く相撲を取れるという事(さすが国技やな)

②我に返って冷静になった者が負けな世界があるという事

③タオルだけでは笑いは隠せないという事

④数十万円かけても目的がしっかりしていないとあまり意味がないという事

⑤やはりインパクトがある事しか人は覚えていないという事

 

今後、あんな笑ってはいけない状況は訪れないことを願おう