AGの挑戦

昭和女子のエッセイ

若かりし頃の、アメリカ村での失態

 

 昔大阪、アメ村の三角公園付近にPOPな雑貨屋さんがあった。

 

ドンキホーテのように所狭しと

赤・青・黄色の原色よりのかわいい雑貨が

並べられ、吊り下げられた、色とりどりの店内。

ここの雑貨屋さんは小さなお手頃の文具から

衣服、ちょっとしたインテリアに使えるものまで置いてあった。

 

地味で、さえない、田舎者のイモ女子な私。

かわいくて面白い、オシャレな友人に連れ出してもらった都会は

どれもキラキラしていた。

 

通路は狭くすれ違うのも危うい。

ロの字ような配置だったと思うが、

前進あるのみ、もし他のお客さんが前から来たら、

バックするか、バックしてもらうか、

お互い商品棚側に身を寄せ細心の注意ですれ違うかの3択である。

 

そんな狭い店内で やらかしてしまった!!

 

イモ女子な私は、始め遠慮がちにペンなどの小物を見ていたのだが、

ふとかわいいキャラクターが書かれたビニール傘が目に留まった。

上部に開いた状態で展示されていて、ちゃんと見たいなと手を伸ばした時だった。

 

何重にも積み重ねられた、山の上から

アイロン台ほどの大きさの折り畳みテーブルがゴロンと転がってきたのだ。

ちゃんとテーブルの形で。

あまりの大物と友人の悲鳴に店内が騒然となる。

買うしかないな…そう思うより早かったか、

店員さんが走ってきた!!

「お怪我はないですか?」

「すみません、傘に手を伸ばしたら落ちてしまってすみません。どうしよう…」

オロオロとする私に、

「全然大丈夫ですよ。たまに落ちるんです。気にしないでくださいね~」

素晴らしい店員さんだ。一瞬で好きになった。

すごくココロが軽くなった~よかった~

 

でも今考えたら、顔面蒼白のイモ女子に優しい嘘をついてくれたのかもしれない

本当にありがとう。

あんた、素晴らしいよ。店員さんの鏡だよ

 

一部始終を見ていた友人からも安堵の表情。

ごめんね。恥ずかしい思いをさせてしまって。すまない。

色々思っていたが、すべて笑いに変えてくれた友人にも本当に救われた。

店内も何事もなかったように、日常に戻っていた。

 

お店を出よう、先に友人が外にでる。

しかし、この素敵なお店に何か恩返しをしたいと思った。

慌てて入口付近にあるレジ前に合ったポストカードを数枚掴んだ

「これください!」

きちんとお礼をいい店をでる。

友人はお店の外で待っていてくれた。

 

店員さんも友人も、お客さんもみんな、みんな、全員ありがとう

道でもさっきの出来事がデフォルメされ、ますますワラケル

喉が渇き、お茶することになった店内で

さっき買ったポストカードをちゃんと見てみた。

 

わぁ、なんだこのキラキラ!

キャンディキャンディのようなファンシーさ。

焦りすぎていた。

普段の私なら絶対選ばない。

人間って焦ると予期しない行動や判断に陥る。

これも

「そんなつもりではなく 手に入れて」

友人も私の性格を知っているから、

予期せぬイラストに泣きながら笑っていた。

全ていい日だったなぁ。

後日友人に、このキラキラポストカードで手紙を書いた

おすそわけだw

 

なぜ、この話を思い出したのか。

部屋を片付けていた時に出てきたのだ。

若かりし頃の私がチョイスしたお気に入りポストカード集の中に。

しかも袋に入れ貼り付けるコラージュ形式にしていた。

この存在自体も忘れていたのに。

昔も今も大切な思い出だったようだ。

 

 

ふと、もしかたら、

大物を落とし、レジ前を通りすぎる時に

罪悪感から掴んでしまうポストカードは

販売戦略だったかもしれないと

よこしまな気持ちが浮かんだことは

なかったことにしておこう。