AGの挑戦

昭和女子のエッセイ

若き日の自転車のナゾ②(カゴの中)

私は大昔の学生時代、中学校区内の大きめのスーパーに入っている

専門店のカメラ屋さんでバイトをしていた。

まだ、使い捨てカメラが全盛期で、連日のように使い捨てカメラが持ち込まれ

1時間ほどで現像するバイトだ。

自宅・最寄りの駅・スーパーの3点はどこからも15分くらいの距離(当時の勢いで)

毎日どこかしらに自転車で通っていた。

 

その日は、自宅からスーパーに向かいバイトへ。

ほどほどに頑張ってバイトを終え、帰ろうと自転車置き場に近づいて行くと、

私の自転車が目に入ってきた。

「あれ?なんか入ってる?」「ん?」

近づくにつれ、間違いなくかごから飛び出ているものがある。

 

「大根だ!!」

思春期の私はきっと声を出してはいなかったと思う。

今なら確実に出てしまうほどの驚きだった。

 

しかも、土がついた、採れたての大根が丸々2本。

青々とした葉っぱがカゴから大きくはみ出している。

「えっ、スーパーで買ったやつじゃないやん」

謎が謎を呼ぶ。

 

いくつかの可能性が浮かんだ

 

①私の自転車だと特定して、私宛に近隣の農家の方からの差し入れ。

(個人情報ダダ洩れの自転車に名前・住所のシールを張っていた頃だから

特定は可能)

 

②近隣の農家さんから、他の知り合いへの差し入れを、

うっかり私の自転車に入れ間違えた

 

③どんな反応をするかの私宛のドッキリ

 

④店内で農業祭のような本気のイベントがあり、むき出しの大根が飛び交い、

手に入れたマダムが自転車で帰る際に荷物を入れるのに、

ちょっと間借りした私のカゴに忘れて帰ってしまった

 

⑤バイト先からの現物支給…

 

「いやいやどれもないやろ!!」

若かりし私は④を警戒し、平静を装って

そーっと隣のカゴに大根を入れ颯爽と帰った。うまくできていたはずだ。

 

翌日バイト先で話してみたら 笑いが起こっただけで支給品ではなかった。

 

何だったんだ!!

①~④ あるいはそれ以外か。数十年たっても忘れられない。

いまだにナゾのままである。