AGの挑戦

昭和女子のエッセイ

うるおいLIFE(苔 / コケ)

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国民的アニメ「サザエさん」でおなじみの波平さんと言えば

盆栽が趣味だと知る人も多いはずだ。

なぜおじさんは盆栽が好きなんだろうと思いながら生きてきたが、

ここへ来て、どうも盆栽が気になるのだ。

 

引っ越し時にご近所さんの方からいただいた鉢植えの南天

枯らすまいと水やりだけを行っていた。

そこに苔が生え鮮やかな緑のジュータンに覆われていたのが昨年の夏。

そんなある日、バッタが卵を産みに来たところをたまたま目撃してしまったのである。

それまでは育ってきたなと思ってはいたが、さほど関心もなかったくせに

無性に腹立たしい感情に襲われたのだ。

何か対策はないものかと、調べてみるとバッタ対策には米酢・トウガラシ・ニンニクの

スプレーが効くらしいということで早速手作りし南天に吹きかけてみた。

というより、流し込んだというほど大量に浴びせた。

 

案の定 苔は日に日に茶色に枯れていった。

南天が無事だったのは何よりもの救いだった。

それからというもの、どうにかあの苔のジュータンを再び見たいと

ピンセットで他の場所で育った苔を少しずつ移植し、

ほぼ毎日湿らせ、石ころや南天の葉や茎を丁寧に取り除くことが日課となっている。

もう、かわいくて仕方がないのだ。

南天もいいのだが、私には苔のあの素晴らしい緑が無性に好きなのだ。

今は茶色いところと新芽のような鮮やかな緑が共存しているが、

茶色くなったところを指でなで、「緑になって」と声までかける始末。

溺愛である。

先日、湯呑に別の鉢から苔だけを移植し、ミニミニ苔盆栽を始めた。

こちらはまだまだ土のほうが目立つが、

「必ずや緑のジュータンに仕上げてみせる!」と、

おそらく波平さん以上の熱意をもって接しているのである。

恐るべし盆栽の魅力。

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